2023年に読んだ本の中から


  目次

 1.反戦譜

 2.軍事で平和は守れるのか

 3.なぜ日本は原発をやめられないのか
      付記   石原慎太郎著 「私」という男の生涯 2022


 4. 入り江の幻影 新たな「戦時下」にて

5. 吉川幸次郎の著作



 はじめに

 ウクライナ戦争、イスラエルによるガザ地区への攻撃など困難な国際情勢が続く年でした。一方国内では岸田首相の不人気(誠意がみえないあの表情と言葉)、庶民をばかにした自民党内部の金銭感覚や反社会的団体である統一教会との癒着、あるいは大きい会社・組織の不祥事(ビッグモーター、ダイハツ、ジャニーズ事務所などの腐敗とその表面化)、そして物価上昇に追いつかない低賃金労働者の多さなど国内の問題も困難が増しているような1年でした。そんな中で政府は防衛費の増大を国民的議論抜きで推し進め、沖縄には一貫して基地の問題で県民に犠牲を払わせ続けています。

 以上のような国内情勢については、10年間続いた安倍内閣の負の遺産が色濃く残っていると私は考えています。金融政策では負の影響の方が大きかったこと、責任ある人間が平気で嘘をつくこと、本気の議論のないままに進められている平和主義からの軽率な脱却などがすぐ思い浮かばれます。

 こんな世の中で私は一国民として何をできるのかわかりません。人間は自分の仕事を、真面目にこつこつ続けて行くのでよいのだ、という考えもあるかもしれませんが、私は違う。民主主義でない政治体制の社会なら、平民が国のあり方に何を言っても意味はないのでしょうが、日本は77年前からはデモクラシーの国になった。民主主義には多くの欠点がありますが、チャーチルが言ったように、「他の政治体制よりはまし」でしょう。しかも民主政治以上のより良い政治体制を、人類は今のところ発明していません。
 ですから私としては、仕事は十分にやる、しかし多少の余裕があるなら、好きな遊びもするが、自分が生きているこの社会のこともよく考えて生きたい、そう思っています。


 ところで印象に残った本ですが-----。本屋にはほとんど行かないので(椎間板ヘルニアで重い本を持てない)、ついkindleで買って読んでしまう。kindleは、それが今までに私が買った本の傾向を知っていて、似た種類のをどんどん宣伝してきますから、夜中に眠れないときなど、ついその中から買ってしまいます。そういう読書傾向はよくないとわかっていながら慣性でそうなっていました。似た種類の本といっても十分に読みがいがあるので後悔はしていないのですが、今年はその習慣からは脱却するつもりです。



 
 他に




★★★★☆  新しい戦前 この国の「いま」を読み解く
          内田樹、白井聰 朝日新聞出版 2023


★★★★☆ ウクライナ戦争の嘘 米露中の打算・野望
     手島龍一、佐藤優 中央公論新社 2023


★★★★☆ 日銀の責任 低金利日本からの脱却
             野口悠紀雄 PHP新書  2023

★★★★☆  未来のための終末論 
            大澤真幸、斉藤幸平 左右社 2023

★★★★☆ 誰が世界を支配しているのか
         ノーム・チョムスキー  双葉社 2018

★★★★★   ぼくはあと何回満月をみるだろう
           坂本龍一 新潮社 2023

★★★★☆  音楽は自由にする
           坂本龍一  新潮文庫  20232023


★★★★☆ 堀田善衛を読む 世界を知り抜くための羅針盤
          池澤夏樹 他     集英社 2018

★★★★☆  分断と凋落の日本
           古賀茂明 講談社  2023

★★★★☆  今よみがえる丸山眞男
           富田浩治、北原淳也  あけび書房2021

★★★☆☆  フランスの高校生が学んでいる哲学の教科書
           シャルル・ぺパン  永田訳 草思社 2023

★★★☆☆ フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者
           シャルル・ぺパン  永田訳 草思社 

      






//