★★★★★ 軍事で平和は守れるのか
  南塚信吾、油井大三郎 他  岩波書店 2023

 題名は陳腐と言われそうですが、内容は非常によく勉強になりました。
 「第1章 ウクライナ戦争はどのようにして起こったのか」と「第2章 NATO東方拡大は戦争を抑止したのか」では、では、この戦争が2021年の冬に突然起こったのとは全然違って、ウクライナの独立(1991)からの歴史の流れの中で発生したことがわかりやすく書かれています。そして2013の「マイダン革命」にはアメリカが深く関与している。その後のミンスク合意(2014)、クリミア併合(2014)があり、背景にはウクライナ国内の意見の地域差(東と西ではかなり異なる)、そしてアメリカが暗躍しているウクライナのNATO加盟問題がある。
 この戦争についてはプーチン首相の個人的問題が大きいのは誰も否定しませんが、背景は決して単純ではなく、NATO拡大をめざしたアメリカの責任も小さくなく、日本では世界の覇権について中国だけをもっぱら批判しているがそれは全く一方的な見方であることが私にも理解できます。
 「第4章 軍拡が戦争を呼び起こす」、 「第8章 東アジアの戦争をどう防ぐか」、などを読むと、これらの問題について、ネットはいうまでもなく、テレビ・新聞がいかに皮相な報道や解説しかしてないか、改めて目が覚める思いがします。







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