□ 屋根と外壁の通気層を連結して設ける。
 通常、通気層は外壁面から侵入した湿気を排出するのを主目的として、また、小屋裏の換気を目的として別々に設けられている。私の設計する住宅では、屋根面と外壁面の通気層を連結して一体で働くように設けている。
 屋根面の通気層の空気は日射によって暖められ、膨張して軽くなり高い位置に設けられた排気口から排出される。屋根面から排出された熱気の代りに地表面近くの比較的温度の低い空気が壁の通気層に取入れられる。
 動力エネルギーを使わずに効率よく通気して通気層の空気を入れ替え、壁や屋根の温度を下げることができる。
 
□ 風の通り道を考える。
 対面、または交差する2面の壁に窓等の開口部を設けることによって、風の通り道をつくり、室内の温度上昇を抑える。
 
□ 庇を設けて日差しをコントロールする。
 南側の採光窓には庇を設ける。 夏の間は太陽高度が高いので、庇によって日射が室内に直接差込むのを防ぐことができ、室内の温度上昇を抑えることができる。

 
 
□ 雪に埋もれる家。
 雪の多い地域では積雪や屋根からの落雪は厄介なものです。冬季間冷たい風が吹き付ける北側や西側を積雪や落雪で埋めることによって、建物に直接冷たい風があたるのを防ぐことができます。また、積雪は空気をたくさん含んでいるので、『かまくら』のような保温効果を得ることもできます。
 雪に埋もれる側の窓には格子等のガードを設けてガラスが割れないよう保護します。また、屋根からの落雪や積雪が融ける時、体積の縮小によって軒先が引っ張られて折れるのを防ぐため、軒を設けない形状としてあり、外壁も耐水性の強い材料で仕上げます。
 雪に埋もれる側の窓は、基本的に夏期の風通しのための窓として考え、南面や東面に風通し用を兼ねた大きな採光窓を設置します。
 
□ 通気層を断熱の補助に。
 外壁の通気層の吸気口は積雪によって埋もれて塞がってしまいます。または、雪が降らないような地域であっても冬期の日差しは弱く温度差を生じにくいので、通気層の中の空気の移動は夏期のように活発になりません。このように、通気層の中に溜った空気は断熱材の補助として働きます。
 
□ 庇を設けて日差しをコントロールする。
 南側の採光窓に設けた庇は、冬期は太陽高度が低いので、日射を遮ること無く室内に導きます。採光窓のガラス面には断熱の補助として、障子や厚手のカーテンを設置します。また、それによって不足する採光はトップライトやハイサイドライトを設けて確保します。