ダンディズム
尺余の雪積もれば何故かホットする雪降らぬ冬生涯なければ
ふぶく雪窓辺をよぎり哭くこゑす異形の群れの意外にやさしも
とっぴんぱらりのぷ囲炉裏で聞きし話など憶ひて眠らな雪に籠もれば
片言を真似する鳥も黙しつつ雪と戦ふダンディズムありや
思ひ出はひそかに飛べり北辰へ雪のまつりの雪重き町
「入ってたんせ」放映されしカマクラの子らは方言語れずなりて
山形へ婿入りをする夢のあとデスマスク顕つ斉藤茂吉の
まかがやく鳥海山の白身(びゃくしん)の凛凛として頌ふべきかな
きさらぎの天を二つに区切りたる航雲もはた儚くなりぬ
雪空に溶接の火花はなやぎて屈折のかたちに階段成りゆく
雪塊(くれ)のあはひより出づる南天のうれに朱き実わづか付けたる
北に住むわれらは狄の末裔にしてさる日アテルイのミュージカル見つ
あぢさゐの雨花といふあをき血を継ぐにあらずや夷狄の末裔(すえ)は
まつろはぬ者ども東夷北狄と田村麻呂のみはなやぐ古代史
兼好は徒然草にしるしたり「えびすは弓引くすべを知らず」と
極楽も地獄も出羽の天と地にあれどまなかひに夏の海光(て)る
唐ぶりを真似たる言葉の西戎はJewと同音なりはからずも
画像自作:ダリア:(プリンセスマサコ)