当院の外来でよくみる病気
1 狭心症---心臓そのものに酸素や栄養を運ぶ動脈、「冠動脈」が狭くなり、前胸部などが苦しくなる病気です。
冬になると、こちらの北国では、時々狭心症の患者さんが受診します。
典型的な状況は、寒い朝に除雪の労働をして、胸が苦しくなり、体を休めなければいけない、数分休むと、何とか落ち着いてくる、それが毎朝繰り返される、みたいなものです
冠動脈が狭くなるのは、動脈硬化によります。ですから動脈硬化になりやすい体の人が、狭心症にもなりやすい。すなわち、喫煙者(とくにヘビースモーカー)、あるいは、高血圧や糖尿病ををちゃんと治療してない人、コレステロールなどの脂質代謝が異常な人、などです。
典型的な症状では、話を聞くだけで狭心症の診断が可能ですが、検査としては、普通の心電図をとっても異常が出ないことが多く、運動負荷心電図でようやく、変化をとらえることができることも少なくありません。
確定的な診断法としては、冠動脈CTや冠動脈造影(心臓カテーテル検査)があります。
当院では運動負荷心電図まではできますが、CTや冠動脈造影が必要なときは他の病院に紹介しています。
治療は、薬だけですむこともありますが、一定以上の狭窄があれば、ステントなどによるカテーテル治療(医療者はインターベンションと言います)、あるいは冠動脈バイパス手術が行われる場合もあります(おととし、平成天皇もその手術を受けましたね。)
なお、以上のような典型的な狭心症である「労作性狭心症」とは別に、なぜか日本人に多いとされる「冠動脈攣縮性(れんしゅくせい)狭心症」というのもあります。
これは、動脈硬化はたいしたことがないのに、一時的に冠動脈が「けいれん状に狭くなって」、胸が苦しくなるものです。原因はよくわかっていません。早朝に起こることが多いが、他の時間帯でも起こりうります。
こちらは、薬の治療によりコントロールされます。
狭心症などの心臓病は、命と直結していることも多いが、医学の進歩により、ちゃんと診療を受けていれば、ふつうはそんなに怖いものではありません。
「胸が変に苦しい」、そんな症状があれば、病院・医院を早めに受診して下さい。もちろん、胸が苦しくなる病気は他にもいろいろあり、医師の仕事は、まずその辺の区別から始まるわけです。
2 かぜとインフルエンザ
寒い季節になるとかぜをひく人が多くなります。どうして寒い季節に風邪が多いかは私もわかりません。アフリカなど熱帯地域の人たちでも、かぜやインフルエンザをひくそうなので。
ところで、「かぜ」と「インフルエンザ」とは違いますね。このことを多くの人は知ってると思いますが、知らない人もいるようです。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症で、多くの場合、急に高い発熱、体の節々や筋肉が痛い、だるさも強い、などの症状があります。一方、「かぜ」の方は、各種のウイルス(ライノウイルスや、アデノウイルスや、RSウイルスなどなど)による上気道を主体とした感染症で、発熱は強い場合もあるが、38°C前後のことも多く、鼻水、のどの痛み、咳などをよく伴います。
ただし、症状や診察だけでは、インフルエンザか、ただの風邪かの区別は困難であり、しばしば、鼻やのどに綿棒を入れて擦る検査が行われます。インフルエンザの検査です。
ただし、この検査も絶対的なものではなく(的中率は70%ぐらいか。陽性の場合は、まずインフルエンザに間違いないだろうが、陰性の場合は、インフルエンザではない、とはいえない)、医師は、総合的に考えて、その両者を区別しようとします。
さらに、インフルエンザには、早く治す薬がありますが、「ただのかぜ」の場合は、特効薬はありません。
さらなる説明は、別ページをご覧ください。