学校の経営


1 地域の実態

 本地区は湯沢市の南東部に位置し、須川地区と高松地区からなっている。須川地区は国道13号線の両側に位置し、東山麓に広がる扇状地にはさくらんぼやりんご等を主とした果樹園が連なる。フルーツラインの名称で親しまれており、早春に収穫される「ひろっこ」が特産物である。高松地区は、栗駒国定公園に通じる県道51号線沿いに位置する山村集落である地区センター周辺には縄文遺跡があり、県道沿いには地域活動の一環としてコスモスが植えられ、コスモスラインと呼ばれている。栗駒山系の川原毛地獄や豊かな温泉群の他、点在する高層湿原や地熱発電所があり、この一帯は須川地区の扇状地とともに湯沢市ジオパークとして、平成24年9月に日本ジオパークに認定され、地域全体が学びの素材となっている。地域住民は文化・スポーツに関心が高く、学校への協力やPTA活動への参加も極めて積極的である。教育に対する期待も大きく、学校と保護者、地域の連携による諸行事が推進されている。

2 生徒の実態

 本校の通学区はこれまで須川小学校と高松小学校の2小学校区からなっていた。2校の統合により、昨年度入学生からは新生須川小学校からの進学となった。通学区は広域に及び、遠距離区域はスクールバスによる通学区域となっている。 
 生徒は純朴で素直であり、学校生活全般にわたって前向きに協力して取り組もうとする向上心がある。生徒数が年々減少しているため、一人で何役も担当しなければならない場面もあるが、人に頼らず自主的に活動することが自分たちの課題であると自覚し、克服しようと努力する姿も見られる。生徒と教師との温かい関わりや小規模校よさを生かした取り組みは、一人一人の自己有用感や生徒相互の連帯感を高めている。今後は、個々の気付きを促す働きかけや一人一人のものの見方や考え方に柔軟性と広がりをもたせることにより、自己理解力と切磋琢磨する意識を高め、表現力と実践力の伸長を目指しながら自己実現を図っていきたい。

3 教育目標

自ら求めて学び、ともに高め合い、主体的に行動する生徒の育成

(1)目指す生徒の姿 『学び合い、高め合い、行動する』

  ○自ら求めて学ぶ生徒      ……… ” 学び合い ”
    ・進んで学ぶ
    ・共に学ぶ
    ・課題解決に粘り強く取り組む
  ○共に高め会う生徒        ……… ” 高め合い ”
    ・自分と自分を取り巻く人々を大切にする。
    ・共によりよい生き方を求める
    ・問題意識を持ち、解決のために創意工夫する
  ○主体的に行動する生徒     ……… ” 行動する ”
    ・自ら判断する
    ・自ら行動する
    ・最後まで努力する、やり通す


(2)目指す学校の姿

  ○一人一人のよさや特性が生かされ、明るく居心地のいい学校
  ○さわやかな挨拶や笑顔、歌声にあふれ、生き生きと躍動する学校
  ○地域や保護者と共に歩み、信頼される学校

(3)目指す教職員の姿

  ○生徒に夢と希望をもたせる教師
  ○生徒一人一人を理解し、個性や能力を伸ばす教師
  ○切磋琢磨して研修に努め、資質能力を向上させる教職員
  ○生徒や保護者、地域の思いを共有し、必要とされる教職員















4 経営の方針

「明日に向かって、心豊かに、一人一人が輝く学校づくり」を基底とし、豊かな人間性と確かな学力を育み、心と体を鍛え、小規模校のよさを生かした実践を通して、保護者や地域からの信頼される開かれた学校づくりを目指す。
 生徒が心豊かに充実した生活を送るためには、それぞれのよさや可能性を伸ばす仕掛けと場の設定、個に応じた働きかけが必要である。今日の営みを明日につなげてふくらませ、感性を磨きながら個性を発揮し合って自分自身を成長させることができるよう、全職員が次の5つの「あい」を心がけ、一人一人が輝いている躍動感あふれる学校づくりに努めたいと考える。

  ○「愛」愛情をもって、共感的に、生徒の可能性を信じ、志を育む。
  ○「EYE」生徒の現状を見て実態把握し、心の変化にも細やかに目を向ける。
  ○「I」生徒が主人公。主体的な学びや活動を支える仕掛け。向上心への働きかけ。
  ○「出会い」人や本との出会い。活動や教材との出会い。音楽や絵画との出会い等。
  ○「合い」人との関わりで生まれる「合い」(学び合い、認め合い、高め合い等)
  

今年度も学級づくりを基盤とし、一人一人の規範意識と集団への所属感を高めながら、生徒たちがよりよい生き方を目指して自己実現を図ることができるよう、全職員で温かく見守って生きたい。

5 本年度の重点

(1)魅力ある学校(「明るい学校」、「居心地のいい学校」)づくりを推進する。

  ・生徒会行事や日常の取組を通して、互いに認め合い高め合う意識を醸成する。
  ・生徒理解を深め、信頼関係を確かなものにする。
  ・さわやかな挨拶と歌声づくりを通して生徒同士のかかわりやつながりを深める。
  ・生徒が活躍する場面を多く設定し、一人一人の自己有用感を高める。
  ・生徒の気付きや思いを受け止め、必要な支援を通して心の安定と成長を見守る。
  ・小規模校のよさを生かした実践を通して感動を共有し、学校への所属感を高める。

(2)心豊かでたくましく生きようとする生徒を育てる。

  ・読書活動の推進を通して、豊かな人間性の育成に努める。
  ・心に響く道徳の授業づくりと道徳環境の充実により、道徳実践力を培う。
  ・基本的な生活習慣の確立と主体的に運動に親しむ態度の育成を目指す。
  ・給食指導や食の指導を通して健康に関心をもたせ、保健指導の充実を図る。

(3)学習指導の充実をロ押して基礎学力の向上を図る。

  ・生徒が見通しをもって取り組む「分かる授業」づくりに努める(めあての明確化、気付きや疑問を引き出す発問の吟味、ねらいにせまる手立ての工夫等)
  ・互いに思いを伝え合う場を設定し、練り合いを通して学びの共有化を図る。
  ・習得と活用のバランスを図った授業実践を通して、確実な理解につなげる。
  ・生徒自身の言葉でまとめる時間を保証し、評価を次の指導に生かす。
  ・小規模校ならではの学習活動を取り入れ、全体の前でも堂々と自分の考えを発表できる力を伸ばす。(全校道徳、全校国語等)

(4)地域に根差した開かれた学校づくりを推進する。

  ・「小・中連携いきいきスクール事業」の活用を通して、児童生徒と教師、地域がつながる小・中連携を推進する。
  ・保護者や地域の協力を得て創意ある学習活動を進め、ジオサイトを活用した教育活動や食育を通してふるさとを愛し、誇りに思う生徒を育てる。
  ・学校報の全戸配布や学校教育アンケートの実地と公開により、地域に情報を発信する。

(5)職員の資質向上を目指し、互いに切磋琢磨し合う研修を行う。

  ・「他教科から学ぶ」を合言葉として、教科の壁を乗り越えて学び合う。
  ・課題解決に向け、PDCAサイクルを機能させた実践を協力して推進する。
  ・人事評価システムにおける自己目標達成に向けた取組により、授業力の向上を目指す。
  ・校外の研修会や研究会に積極的に参加し、学んだことを全職員に還元する。