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【1】王とひめT |
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(始まる前のBGMは交響組曲シェラザード。BGMが終わると、まく前のステージ右に、ナレーター3人登場 太陽がある) |
| ナレ |
3年生のげきは、アラビアンナイトです。アラビアンナイトには、アリババと四十人のとうぞく・アラジンとまほうのランプ・シンドバットのぼうけん、など有名なお話がいっぱいあります。 |
| ナレ |
でも、本当はそれが全部まとまって一つのお話になっているのを知っていますか?今日はそのお話からはじめます。 |
| ナレ |
アラビアのある国の王様に、おひめ様がおよめ入りすることになりました。とてもおめでたいことなのに、なぜか、みんなは暗い顔をしています、どうしてなのでしょう? |
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(幕中央から家来12が出てくる) |
| 家1 |
きょうは、シェラザードひめさまのおよめ入りの日ね。 |
| 家2 |
そうね。何も知らないおひめさま。かわいそうに。 |
| 家1 |
あしたの朝には、ころされてしまうなんて。 |
| 家2 |
ああ、おひめ様がいらっしゃたわ。王様にお知らせしなければ。 |
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(家来まくの中に入ってまた出てくる) |
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(ステージ右からナレの前をとおってシェラザード出てくる) |
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(左からシャリアル王出てくる) |
| シ王 |
おお、ひめ、よく来てくれたな。 |
| シ姫 |
王様、これからよろしくお願いします。 |
| シ王 |
ああ、今日一日よろしく。 |
| シ姫 |
え、今日一日?どうして、今日一日なのですか? |
| シ王 |
ふふふ。明日の朝には、おまえは死刑になるのだ。 |
| シ姫 |
え!なんですって! |
| 家1 |
おひめ様、王様は人を信じることができません。 |
| 家2 |
お姫様がいつか心変わりをして、王様を裏切るかもしれないと思っているのです。 |
| シ王 |
そうだ。おまえもいつ私を裏切るかもしれない。だからその前に、殺すのだ。明日、夜が明けたら殺すのだ。 |
| シ姫 |
えっ!そんな! |
| 家1 |
王様は、何の罪もない人をつかまえては、死刑にするのです。 |
| 家2 |
明日の朝には、おひめ様といっしょにほかにも何人もの人が死刑になるのです。 |
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(ステージの下を右から左へ、何人もつれて行かれる) |
| エキ |
ああ、何も悪いことしてないのに |
| エキ |
死刑になるのはいやだ。 |
| エキ |
だれか助けて! |
| ナレ |
あすの朝にはころすと言われたかわいそうなシェラザードひめ。 |
| ナレ |
でも姫は心やさしくてかしこい人でした。 |
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(太陽が三日月に変わる。夜である) |
| ナレ |
その日の夜、姫は、王様にある物語をはなして聞かせることにしました。 |
| シ姫 |
むかしはたらきもののアリババという人がいました。アリババが兄さんといっしょに山でたきぎ取りをしに行ったときのことです。たくさんのとうぞくたちがやってきたのです。 |
| シ王 |
えーっ!とうぞくたちが!?それはたいへん!で、どうなったんじゃ? |
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(まくが開く その間にみんなひっこむ) |
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【2】アリババT |
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(ステージ右に岩山がある) |
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(ステージ中で、アリババがんばってたきぎとりをしている。兄カシムさぼっている) |
| アリ |
カシム兄さん、もうだいぶたくさんたきぎをとったよ。 |
| カシ |
そうか、アリババ、まあ、がんばっておれの分もとってくれ。 |
| アリ |
あれ、兄さん、何だかむこうの方から、おおぜいの人の声がするよ。 |
| カシ |
ん?あ、何だかあやしいやつらだ。ちょっとかくれた方がいいな。 |
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(二人岩山の方にかくれる 左からとうぞくたちあらわれる) |
| と1 |
きょうもまた、たんまりお宝をぬすんできたぞ。 |
| と2 |
うっしっし、おれは金貨をいっぱいぶんどってきたぞ。 |
| と3 |
うわっはっは、おれは、宝石をこんなにいっぱいぬすんできたぞ。 |
| と2 |
むかしは40人いたなかまも3人にへったけど。 |
| と3 |
まけないでがんばるぞ! |
| と皆 |
おー!(と右手をあげて、気合いを入れる)) |
| と1 |
さーて、また、ひみつのほらあなにかくしておくとするか。 |
| と2 |
ひらけー ゴマ。 |
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(岩山の岩、うごいて中にほらあな、とうぞくたち中に宝物をしまう) |
| と3 |
とじろー ゴマ |
| と1 |
さーて、もうひとはたらきしてくるか。 |
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(とうぞく左へ去る。アリババたち出てくる) |
| カシ |
おい、見たか? |
| アリ |
見たよ。 |
| カシ |
えーと、何て呪文をいってたかな?えーと、ひらけー むぎー。あれ、ちがうな。ひらけー あずき。あ、ちがう、たしか何か食べ物の名前だったな。 |
| アリ |
兄さん、ぼくがやってみるよ。ひらけー ゴマ。 |
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(岩山がひらく。中に宝物がいっぱい) |
| カシ |
うわー。こいつはすごいな。これをもらっていけば大金持ちだ。 |
| アリ |
兄さん、でもやめておいた方がいいよ。とうぞくたちに何をされるかわからないよ。 |
| カシ |
うるさいな。おまえはたきぎを持って家に帰ってろ。 |
| アリ |
兄さん、気をつけてね。 |
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(アリババ右へ帰る とうぞくたち左からふたたびあらわれる) |
| と2 |
お、なんだ、ほらあなの入口があいてるぞ。 |
| と3 |
あ、なんだあいつは。 |
| カシ |
あ、しまった。 |
| と1 |
あ、おれたちのものを横取りするとはなんてやつだ! |
| と2 |
ただじゃおかねえぞ。 |
| と3 |
おい、お前、このほらあなのこと知ってるのはお前だけか? |
| カシ |
え、えーと、あと弟のアリババが・・・ |
| と2 |
なに、そいつもつかまえて、やっつけてやる。 |
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(とうぞく、カシムをつれて左へ) |
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【3】アリババU |
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(太陽が三日月に変わる。右のアリババのうちにアリババモルジアナいる) |
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(左からとうぞく1あらわれる) |
| と1 |
こんばんは。 |
| モル |
どなたですか。 |
| と1 |
わたしは、旅の油商人です。宿をみつける前に日がくれてしまいました。お礼はしますので、どうか一ばんとめていただけないでしょうか? |
| モル |
わたしは、このうちの召使いのモルジアナです。少し待ってください。 |
| モル |
アリバ様。旅の方がいらっしゃって、とめてほしいとおっしゃっていますが。 |
| アリ |
それは、おこまりでしょう。どうぞどうぞ、ごえんりょなく。 |
| モル |
どうぞ、お入りください。のみものを持ってきます。(中に入る) |
| と1 |
ありがとうございます。では、売り物の油をにわにおかせてください。(左へ) |
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(とうぞくたち大きなつぼを運び込み、中にかくれる) |
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(モルジアナ、のみ物を持って来て、おどろいてかくれ、ものかげで見る) |
| と1 |
おい、わかってるだろうな。このうちのやつらが、みんなねたら、合図をするからな。 |
| と2 |
おう、そしたらおれたちがいっせいにとびだして、やつらをやっつけてしまうってわけだ。 |
| と3 |
うでがなるぜ。きょうもたんまり、お宝をいただいていくとするか。 |
| と1 |
まあ、おれがあいずをするまで、ひとねむりしながら待ってな。 |
| と23 |
へい。ぐー ぐー ぐー。(ねる。とうぞく1は中に入る) |
| モル |
たいへんなことになったわ。アリババ様にお知らせしなければ。 |
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(モルジアナ、アリババをよんできて、耳うち。) |
| アリ |
えーっ!それはたいへん!どうしたらいいんだ。 |
| モル |
いい考えがあります。この入れ物に油を入れて、にたたせるんですそして(耳うち) |
| アリ |
なるほど、そうか。やってみよう。 |
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(アリババとモルジアナ油のつぼに近づき) |
| と2 |
親分、あいずはまだですかい。 |
| と3 |
もう、待ちくたびれましたぜ。 |
| モル |
お待たせしましたね。これをどうぞ!(にたった油を流しこむ) |
| と23 |
うわー。あちちちちち!こりゃまいった。(にげていく) |
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(とうぞくの親分出てくる) |
| と1 |
ちくしょう。やられちまったか。 |
| アリ |
えーい。これでどうだ!(油をかける) |
| と1 |
うわー。たすけてくれー。(にげていく) |
| モル |
やったー!やっつけたわ! |
| アリ |
モルアナがいい知恵を出してくれたからだよ。ありがとう。 |
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(下手より兄さんのカシムでてくる) |
| カシ |
アリバ、モルジアナ、すまなかった。ぼくが悪かった。あぶない目にあわせてしまって、すまない。ゆるしてくれ。 |
| アリ |
兄さん、いいんだよ。そんなことは。 |
| モル |
そうですよ。これからは兄弟力を合わせてなかよくくらしていきましょう。 |
| カシ |
ありがとう。ありがとう。(感動して泣く) |
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(シェラザードとシャリアル王登場の間に、アリババら退場) |
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【4】王とひめU |
| シ姫 |
いかがでしたか。アリババととうぞくのお話は? |
| シ王 |
うーん。感動した。(泣いている)すばらしいお話だ。 |
| 家1 |
王様、おひめさまを死刑にするのはおやめになったらいかがでしょう。 |
| 家2 |
そうです。こんなすばらしいお話をしてくれるおひめさまをお助け下さい。 |
| シ王 |
うーん、じゃあ、一日だけ死刑をのばしてやろう。だからひめよ。明日も何かお話を聞かせてくれ! |
| ナレ |
こうして、シェラザードひめは、次の日も王様に別のお話を聞かせてあげました。 |
| シ姫 |
今日は「アラジンと魔法のランプ」のお話をしてさしあげます。 |
| シ王 |
魔法のランプ?へえー、どんな不思議なランプなのかな? |
| シ姫 |
アラジンは貧しい若者でしたが、ある金持ちのマハラジャのむすめアーヤひめを一目見て好きになってしまいます。そしてなんとか、そのむすめをおよめさんにもらえるようにマハラジャにたのみにいきました。 |
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【5】アラジンT |
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(マハラジャたち左 アラジンたち右 むきあっている) |
| ナー |
マハラジャ様。アラジンという方がいらっしゃいました。 |
| マハ |
のう、アラジンとやら、そのほうはアーヤひめをよめにしたいということであったが、ほんとうか。 |
| アラ |
はい。おねがいいたします。 |
| 母親 |
わたしはアラジンの母です。わたしからもお願いいたします。 |
| マハ |
しかし、アーヤひめとけっこんしたいというなら、あまりびんぼう人ではだめだ。おい、召使いのナーナ、お前もそうは思わんか。 |
| ナー |
その通りでございます。アーヤひめがおよめいりするとなれば、やはりごてんの一つぐらいは持っているかたでないといけないと思います。 |
| アラ |
え!ごてんですって!いくらなんでもそれはむりです。 |
| 母親 |
アランは、まずしくても、しょうじきな、はたらきもののよいむすこです。どうかよろしくおねがいいたします。 |
| マハ |
いや、びんぼう人にはうちのむすめはやれん。あきらめるがいい。もしどうしても結婚したいならりっぱなごてんをたててみるんじゃな。わっはっはっはっは。 |
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(マハラジャ一たち左へ 母親とアラジン残る) |
| アラ |
うちみたいなびんぼう人にごてんなんてとてもむりな話だ。 |
| 母親 |
そんなことないわよ。アラジン。あなたには、あの魔法のランプがあるでしょ。 |
| アラ |
あ、そうだ、ランプのせいにたのめばいいんだ。 |
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(アラジン、まほうのランプを持ち出してなでる) |
| アラ |
ランプのせいよ、出てきておくれ。 |
| ラせ |
はーい、わたしはランプのせいです。ご主人様。ご用は何ですか。 |
| 母親 |
アーヤひめのためにりっぱなごてんをたててくれるかい。 |
| ラせ |
はーい。ごてんの一つくらい、わたしにとってはおやすいご用です。 |
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(ランプのせい、右からごてんを出す) |
| アラ |
うわー。これはすごい。 |
| ラせ |
これで、ご用はおすみでしょう。では、しつれいします。(右へ立ち去る) |
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(マハラジャたち左から出てくる) |
| マハ |
おお、りっぱなごてんじゃ。これならわしのむすめをよめにやってもいいぞ。 |
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【6】アラジンU |
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(ナレーター右へ) |
| ナレ |
こうして、アラジンはマハラジャのむすめアーヤひめをおよめさんにして、ごてんでくらしはじめました。 |
| ナレ |
ところが、ある日、アラジンが出かけた後に、前からまほうのランプをねらっていた悪い魔法使いがあらわれたのです。 |
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(魔法使い 左から出てくる) |
| 魔法 |
さーて、ここがれいのアラジンのごてんだな。どうやらアラジンはるすのようだ。これはつごうがいいぞ。 |
| 魔法 |
えーランプ屋でーす。、古いランプを新しいランプと取りかえまーす。今日はとくべつにただで取りかえまーす。いかがですか。 |
| アー |
あら、ランプやさん。 |
| 魔法 |
もしも、古いランプがありましたら、あたらしいランプとお取りかえしますよ。いかがですか? |
| アー |
あ、たしか古いランプがあったはずだわ。でも、もしかしたら大切な物かもしれないわ。 |
| 魔法 |
え、どんなランプでしょうかね。私が少しみてあげましょう。 |
| アー |
ああ、これですけど。 |
| 魔法 |
あ、これは古くてぼろぼろだ。これでは油がもって火事になってしまいますよ。もうこのランプは使われません。今日はとくべつサービスで、ただでこの新しいランプと取りかえてあげますよ。 |
| アー |
ええ!そうだったんですか。それはありがたいわ。そっちの新しいランプをくださいな。 |
| 魔法 |
ええ、ええ、どうぞどうぞ。取りかえてさしあげますよ。 |
| アー |
どうも、ありがとう。 |
| 魔法 |
ふっふっふ。こーんなにうまくいくとは思わなかった。しめしめ。(ランプをなでる)ランプのせいよ、出て来ーい。 |
| ラせ |
はーい。ご主人様。ご用はなんですか。 |
| 魔法 |
ふっふっふ。あのりっぱなごてんをわしのものにする。わしの国にあのごてんをもっていくんじゃ。そしてアーヤひめもさらっていくぞ。 |
| ラせ |
はーい、ご主人様。おやすいご用です。(ごてんをせおい、アーヤひめをひっぱりつれていく。左へ) |
| ナー |
何をするの。やめて |
| アー |
きゃーたいへん。助けてー。 |
| 魔法 |
うわっはっはっは。うわーっはっはっは。 |
| ナー |
たいへんなことになったわ。アラジン様をよんで来なくては!アラジン様!アラジン様!(よびにいく 右へ) |
| アラ |
どうしたんだ。あ、ごてんがない。ひめもいない。 |
| ナー |
はい、悪い魔法使いがきて、あのランプを使って、ひどいことを・・・。 |
| アラ |
あ、魔法使いめ、うっかりランプをおいたままだな。これは、運がいい。(ランプをなでる)ランプのせいよ出てきておくれ。 |
| ラせ |
はーい。ご主人様。ご用はなんですか。 |
| アラ |
いそいで、アーヤひめとごてんを取り返してくれ! |
| ラせ |
はーい、おやすいご用です。 |
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(ランプのせい、ごてんをせおい、アーヤひめをつれてもどってくる) |
| アー |
あ、アラジン様。助かったわ。 |
| アラ |
アーヤひめ、よかった。 |
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(悪い魔法使いあらわれる) |
| 魔法 |
くそー、アラジンめ!よくもー。 |
| アラ |
ランプのせいよ、悪い魔法使いをやっつけてくれ! |
| ラせ |
はーい、ご主人様。魔法使いをやっつけます。(魔法使いをごてんの下じきにしてしまう。) |
| 魔法 |
うわー!やられたー!(消えてしまう) |
| アラ |
もうだいじょうぶだ。 |
| アー |
ああ、よかったわ。 |
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【7】王とひめV |
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(王とひめたちあらわれる) |
| シ姫 |
それからあと、アラジンもアーヤひめもみんなとなかよく楽しくすごしました。 |
| シ王 |
そうか、それは、よかったな。 |
| シ姫 |
アランと魔法のランプのお話は楽しかったですか。 |
| シ王 |
うん。おもしろかったわい。そんなランプがわしもほしいぞ。 |
| 家1 |
王様、おひめさまを死刑にするのは、もう一度お考えなおしてください。 |
| 家2 |
王様、私も、死刑はやめたほうがよいかと思います。 |
| シ王 |
うーん。それでは、死刑にするのはもう一日だけのばしてやろう。 |
| シ姫 |
それでは、明日はまた別のお話をお聞かせしましょう。 |
| ナレ |
こうして、シェラザード姫は、毎日毎日、王様に不思議で楽しいいろいろなお話をしてきかせました。 |
| ナレ |
シンドバットの冒険や魔法のじゅうたん、ハッサンと不思議なトランクなどたくさんのお話を王様に聞かせたのです。 |
| ナレ |
そうして、一日一日、と命をのばして、千一日目の夜がやってきました。 |
| 家1 |
王様、ひめを死刑にするのはおやめになったらいかがでしょう。 |
| 家2 |
死刑にするのはおやめになったほうがよいと思います。 |
| シ王 |
そうだな・・・・・。シェラザード姫、千一日の間、毎日毎日楽しいお話をしてくれてありがとう。私はこれまで、人を信じることができなかった。でも、ひめのお話を聞いているうちに、人と人が信じ合うことが大切なのだとわかってきた。もう人をうたがうのはやめた。つみもない人を死刑にするのはやめることにする。これからは、みんななかよく楽しく過ごせる良い国を作っていくのだ。 |
| 家1 |
王様、それは、とてもすばらしいことですわ。 |
| 家2 |
国中のみんなもよろこぶことでしょう。 |
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(いつのまにか、ステージの上に全員ならんでいる) |
| エキ |
王様、ばんざーい |
| エキ |
お姫様、ばんざーい |
| みな |
ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい! |
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(BGM交響組曲シェラザード流れて、まくとじる) |