「レストラン あびにょん」

レストラン あびにょん 大山 正治さん・清美さんご夫妻

「ここには人間らしい生活があります」

・東京から秋田へ移住しました

　東京中野で生まれ育って、50年近くいたんですが、中野から一歩もでない人間が、ここに憧れてぽーんと着ました(奥さんは江戸川区出身)。
　秋田に来たのはちょうど7年ぐらい前になりますかね。遊びに来ている間にここに移り住むようになってしまいました。
　東京にいたときはアパレルの仕事をしていました。自分のところでデザインして洋服を作って、ブティックで小売りをやらせていただいてました。それをやめて秋田に来たわけですが、捨ててきたのではなく、それを卒業して新しい第2の人生を今楽しんでいます。
　東京に比べてですが、ここだから苦労があって東京だから苦労がないということは絶対ないですね、やはりちょっと発想を変えれば全然不便に思うこともありません。便利がよくて不便が悪いということもないし、田舎＝不便ではないですよ。

・都会と田舎の生活の違い

　カルチャーショックを受けたこともあったんでしょうけども、今はもうそれを問う必要もないんじゃないかなと、そのぐらいここがよくなってきています。東京にいたときには仕事一辺倒みたいな形できたんでしょうけど、ここではゆとりができたっていうか、人間らしい生活って言ったらいいんでしょうか…。
　ネオンがあって、高層ビルがあって、すてきなレストランで素敵なブランドものを身につけて…、それが文化だっていうのとは価値観の違いだから。私たちはたまたまこういうものがいいんであって、個人個人で違うんじゃないかな？
　実際収入的に言えば東京にいた方がよっぽど収入はあったんでしょうけど、ここに来てそんな大層なお金を出費しているわけでもないし、ここ秋田はやりようによったら素晴らしいものがいっぱい転がっているんじゃないかなあと。ですからやり方一つ変えれば、東京の何倍も収入を得ることができるんじゃないかなと思っています。

・秋田の食べ物について

　秋田は何が美味いかっていうと、それが枝豆。最高に美味しいですよ。秋田の枝豆が食べたくってここに移り住んできたぐらいですから。今年初めて枝豆を植えてますんで、本当に夏が楽しみです。
　今日のメニューは、明太子スパゲッティ、プラス秋田の食材、タケノコとかキノコ類。原木椎茸というのがありましたので、それを串焼きにしてみました。お野菜とお肉とたっぷり。お客さんの「美味しい！」っていう顔が見たくて、声が聞きたくてやっています。

・秋田の人々

　昨日もお天気がよくてぐるっとドライブをしてきたんですけれども、そこで蔓細工をやっている方、パッチワークをやっている方とか、本当に根付いた暮らしをしてる人たちと出会えました。それこそ本当の文化だと思います。秋田の文化を大事にして暮らしている方も沢山いるので、勇気づけられますね。そういうふうに共感しあえる方にも沢山出会えました。(そういう方々は)ここ秋田の財産だと思います。

・最後に皆さんへメッセージ

　ここに来ての最高の贅沢っていうのは、温泉かな。どこに行っても温泉に入れる。で、朝起きればお店の窓から景色を見るのが日課になっていますからね。もうそれだけで何にもしなくてもいいかなって。実際はどこに生活しても一緒ですし、やはり違った部分のポイントを自分ながら見つけていくっていうのが一番いいことじゃないかなと思いますね。だから、都会にいてそこから抜け出せない人っていうのは残念ですね。「いいんだよ一生じゃなくて。一日でも十日でも来てみなよ」って言いたいですね。
　ここへ来た一つのきっかけになったのは、東北道から秋田道が繋がったというのが大きな要因でしたね。(現状では)山形から秋田が近いけれどちょっと遠いので、それがもっと近く繋げられたら嬉しいです。そうすればもっと皆さんに来てもらえるんじゃないかなと思います。まず来てたんせ。