ある日、ゆうと君は洗面所に歯磨きをしに行きました。そ
して、妙な光景を見ました。それは、おじいちゃんが慣れ
ない左手で歯ブラシをもってゴシゴシと歯を磨いていたの
です。実は、おじいちゃんは先日、脳梗塞で倒れ病院を
退院したばかりでした。おじいちゃんは、がんばっていま
したが、どうもうまくできないみたいで途中でやめてしまっ
たようです。
心配になってゆうと君は、おじいちゃんに聞いてみました。
「ねぇ、じっちゃ。右手なにしちゃったなよ〜、なして、じっ
ちゃ、左手で歯磨きしているなよ〜?」 「この間倒れて
から、体の右側がうまく動かないんだ。だから、やれねど
も、左手でやっているんだ。」とおじいちゃんは答えました。
「ふうん、んだなが〜。」なんかわかったような、わからな
いようなまま、ゆうと君は返事をしてそのまま忘れてしまい
ました。
それからしばらくたった後、ゆうと君は、歯の定期検診の
ため歯医者さんに行きました。その時に、おじいちゃんの
ことを思い出して先生に聞いてみました。
「この間、うちのじっちゃが左手で歯磨きしていたんだけど
うまぐみがげねっていって途中でやめてしまっていたよ。
どうしたらいいんだべなあ〜。」と聞いてみました。
「そうか、おじいちゃんはちゃんと歯磨きをやってくれてい
たのか。ゆうとはおじいちゃん思いなんだなぁ。えらいなぁ
おじいちゃんがこないだかかった脳梗塞なんかの後遺症
で片側に麻痺がでた場合、そちら側に食べカスなんかが
のこりやすくなるんだ。口の中に食べカスを残したまま寝
ると、寝ている間にバイ菌が増えてしまうんだ。そして、虫
歯や歯ぐきの病気になりやすくなる。さらに、一番怖いこ
とは、知らず知らずにそのバイ菌がのどのほうに落ちて
肺に入ってしまうことがあるんだ。」と教えてくれました。
「したらよ〜、どうなるなよ〜。」ゆうと君は興味がでてきて
聞きました。先生は怖い顔をして答えました。