前号までは歯周病について、掲載してきました。
本号からは、良く噛む事が私達の体にどのような影響を与え
るかについて考えていきたいと思います。
そこで、今回は脳との関連について考えましょう。
ある調査では、ボケ症状を伴うアルツハイマー病の患者さん
は、健常者に比べ若い時期から歯を失っており、その本数が多
いほど痴呆の程度が重かったとしています。
さらに、ある老人病院での調査は、、義歯の調子がいい老人
の方が、不良の場合よりも痴呆が少ない事を示唆しています。
また、診療に当たっていると、患者さんの家族から、入れ歯で
よく噛めるようになってからボケが少なくなったとの話を聞くこと
もあります。このように、よく噛むことは脳の活性化と密接に関
連しているようです。
平均寿命が延び、超高齢化社会と呼ばれる今日、ボケること
なく最後まで充実した人生を送るためにも、歯を大切にしましょ
う。

図の1はある老人病院で入れ歯でよく噛める人の群と入れ歯
がなくてよく噛めない人の群の痴呆と非痴呆の割合を比較し
たものです。よく噛める群では痴呆の割合が少ないことがわか
ります。
よく噛むと頭がよくなるとする報告もあります。
固い餌を与えたネズミの方が、粉末の飼料を与えられた場合
よりも記憶力がよかったとする報告や、人間でも固いものを給
食時に与えられた幼稚園児の方が学習能力が高かったとする
報告もあるようです。また、咀嚼値が高いと知能指数も高いと
の調査もあります。

このように、よく噛めることは成績にも影響
する可能性もあるので、虫歯は放置せずにしっかり治療しまし
ょう。

次回は、よく噛むことは虫歯を防ぐことにもつながるなど、咀
嚼と健康について色々な角度から述べてみたいと思います。
図の2は幼稚園児を二つのグループに分けて、一方には給
食のみを、他方にはそれに加え歯ごたえのあるものを与え、6
ヶ月後に噛む力と知能テストの結果を比較した調査です。よく
噛ませたグループの方が噛む力が増すとともに知能テストの
点数もよい結果となりました。