W 先生への手紙
  ----戦後に生まれた私らの世代の責務

W 先生

お正月早々、年賀状ありがとうございました。
そこに、「何か書いているものがあったら、みせてください」、と書かれていましたので、お言葉に甘えて、ずうずうしくもお送りいたします。(いっぱいありますので、一部でも読んでいただけたらありがたく存じます。)

十数年前から、インターネットに自分の医院のホームページを作っていて、半分趣味、半分本気で暇な時に文章を綴ってきました。(医学・医療とは異なるテーマもごちゃまぜになっているので、変ってるHPです。)

自分の意見を述べるなら本来は、以前私もそうやっていたように、医師会報など、多くの人の目にふれる紙面に書くべきかもしれませんが、医師会員の多くは、自分の仕事以外には興味がないか、あるいは育ちが良すぎて考えが保守的、もしくは体制に流されている方々が多い感じで(医師会の政治姿勢がそうですよね)、医師会報に投稿しても、共感はあまり得られない感じでした。いえそれどころか、悪くすると変人とか社会主義者とみられそうで投稿はやめました(私の政治的立場は、リベラルで---何よりも自由を重んずる、それを妨害する人間・団体には精いっぱい抵抗する-----、そして、弱いもの、運の悪い人々にはできるだけ共感と誠意をもって接していきたい、でもアナーキストではありませんし、どんな政治・思想団体にも所属していません。)

そういうことでホームページを自分で作って、自由に意見を発表しております。この地域の方々の幾人かには読んでもらっているようですが、湯沢以外の人はまず読んでないと思います。また、生前のN先生のように、全国紙や地方紙に意見を投稿すれば意味があるでしょうが、そこまでちゃんとした人格もないし、成熟度もないので、インターネットが精いっぱいと思っています(いつかは、有機的にまとめて本にしたいとは思っています)。

社会・政治の意見のほかに、自分の趣味のものまで勝手気ままに書いているので、先生からは、もっと真剣に取り組んだらどうなんだ、と軽蔑されそうですが、毎日の診療も結構忙しくて、こんなもので自己満足しています。(O病院の夜間救急外来にも、月に4時間ですが、手伝いに行っています。)

 また、駄文を書くだけでなく、何か社会的な運動に身を沈めたいという希望を少しもっていますが、家族もいるし、医院の職員(10人)の生活も私の肩にかかっていますので、私の能力、エネルギーでは、これぐらいでやっと、というところです。

なお、日本の平和主義については、戦争を肌身で知っている先生方の年代が少なくなってきています。私の年代(昭和26年生)も戦争は現実には知らない。でも大切なことなので、歴史書や、小説、映画、親の話など、あらゆる方法を通じて個人的には知識を得てきました。

私たちの世代も、戦争を経験していなくても、平和主義の重要性を後の世代に伝えていかなくてはならない、と考えています。(学校教育でそれが不可能になっているのが、今の安倍政権の最大の悪です)。現代におけるナショナリズムの流行は、日本のみならず、欧米なども似ている状況になっているわけですが、これは、経済的限界(成長の限界)とともに、大戦争を直接的に知る世代が少なくなってきていることも、関係していると思います。

20年ぐらい前に、拙稿を県の医師会報に掲載してもらってから、たびたび先生からは励ましのお葉書をいただきました。その後も勉強したり書いたりするエネルギーを継続することができたのは、先生のおかげです。本当にありがとうございました。過去形はだめですね。

本当にありがとうございます。
まだまだ先生も長生きしてください。そして、私たちの年代、もしくは私個人の考え方などに問題点がございましたら、お気軽にご指摘していただけたら、と存じます。