新聞などで、この病気を目にしたことはありませんか。数年前に、新幹線の運転手が20分間眠っていて、列車は自動的に動いていたという、恐ろしい話がありましたが、その運転手もこの病気だったとか。

どんな病気?

もしあなたが、夜のいびきが強ければ、この病気の可能性があります。いびきのほかに、日中の眠気が強かったり、あるいは朝起きたとき、ボーっとした感じが強ければ、多分あなたは、「睡眠時無呼吸症候群」です。

 いびきが強い人は、のどの所で気道がふさがっています。それが高ずると呼吸が止まってしまいます。医学では、10秒以上呼吸が止まるのを「無呼吸」とします。これが一晩に30回以上、もしくは1時間に5回以上あれば、睡眠時無呼吸症候群です

軽い人は大丈夫ですが、1時間に20回以上無呼吸があるようだと、本人は知らないでいても、睡眠がとても不十分になり、日中しょっちゅう眠気をもよおすことになります。

 一般に、いびきが強いのは肥満の人や首が短めの人に多く、実際、この睡眠時無呼吸症候群もそういう人に多いようです。しかし、細身の人でも、睡眠時無呼吸症候群の人はいます。

循環器の病気(脳梗塞、心筋梗塞)にもなりやすい

 睡眠時無呼吸症候群が何年も続くと、動脈の病気にかかりやすくなります。無呼吸になっているときは、窒息と同じ状態になっています。つまり、本人が知らない間に、血圧がすごく上がったり、アドレナリンなどのホルモンが過剰に分泌されたりして、動脈がとても痛んでしまうからです。

 高血圧の原因としてもこの病気は重要なのです

 中等度以上の睡眠時無呼吸症候群の人たちを治療しないで9年間様子をみていたら、4割の方がなくなったというショッキングな研究データが日米両国で別々に出されています。原因の多くが心筋梗塞と脳出血・脳梗塞です。

どうやって病気を見つけてもらうか

 いびきが強くて、息が止まると言われる人は、ぜひ早く最寄の医師に相談して下さい。また、高血圧があっていびきがある人もぜひ医師に相談してください。

この病気に詳しいのは、耳鼻科、内科(循環器・呼吸器)ですが、かかりつけ医がいる方は、そこで相談してください。医師は、話を聞いて疑わしければ、1晩の睡眠の状態を記録する簡単な検査を行うか(簡易睡眠検査)、最初から専門の医師に紹介するでしょう。当院ではまず、簡易睡眠検査を行っています。それで以上なら、精密検査を依頼し紹介しています。

どうやって治療するのか

 睡眠時無呼吸症候群があって、その程度も一定以上なら、放っておけばよくないのです。

 治療は多くがCPAP(持続陽圧呼吸装置)を毎晩装着することによって行なわれます。これは、鼻にマスクをつけて、呼吸が止まったときに空気を押し込んでやる機械で、たいへん有用なものです。

 また、一部の患者では、口腔内装具を作ったり、耳鼻科で「のど」の手術が必要とされる場合もあります。



珍しくない病気  「睡眠時無呼吸症候群」

     いびきの強い人 要注意