漫然と服用しない方がよい薬

痛み止めの薬(消炎鎮痛剤

   腰や膝など体のどこかが痛ければ、一時的に鎮痛剤をのむのはやむをえないことではありましょう。しかし何か月あるいは、年余にわたり服用している方がいます(整形外科などからの処方で)。そして、こちらから訊くと、「今はあまり痛くない」、などとおっしゃいます。私は言います。「たいした痛みでないのなら、担当医に話して中止したら」、と。
 その種の薬が、全く害がないのなら、私が助言をするのは、おこがましいことです。しかし、消炎鎮痛剤を服用していると、思いがけない副作用がありえます。
 ひとつは消化管、特に胃の障害。知らない間に胃潰瘍を発生して、小出血が続いて貧血になったり、ある突然、大出血して吐血することもたまにあります。
 あるいは、腎臓の障害。これもふつうは、本人が全く知らない間に進行します。もともと年をとっている人で、少しだけ腎臓の機能低下がある人に多いのですが(慢性腎臓病という。血液のクレアチニンという検査でわかる。)、それが痛み止めの薬によって悪化することがあるのです。
 そもそも、日本の医療現場では忙しい医師が多く、「痛み」を患者さんが訴える場合、「どの程度痛いのか」、と詳しく問いたださないこともありうるのではないかと推測します。
 患者さんの方も、今よりは自分の病気や薬について賢くなりましょう、医師を信頼するのは良いことです。医療はお互いの信頼がなければ成り立ちません。しかし、「医者まかせ」、はよくないです。
 漫然と「痛みどめの薬」を飲むのはやめましょう。