高血圧の治療目標(2025)

2025年、に日本高血圧学会から、「高血圧治療ガイドライン2025」が発表されました。(これは約5年に一度づつ改訂されています。)

このガイドラインでは、「降圧目標」が従来のものより、さらに低くなりました。今回、降圧目標は75歳未満の人もそれ以上の人も一律に、診察室血圧が13080以下、家庭血圧が12575以下になりました。従来は75歳以上では、診察室血圧が14090以下、家庭血圧が13585以下でした。

たびたび治療目標が変わるのでは、患者さんのみならず、我々医療者側も戸惑います。とはいえ、
国際的に最も信頼されている内科学の教科書の一つである「ハリソン内科学」においても、同じ目標が提示されていますので、私も日常の診療において、この数字に準じていかなければなりません。
このように高血圧の治療目標が次第に下がってきているのは、、それなりの理由があるようです。
SPRINT試験など、外国の臨床試験では、120mmHg以下や130mmHg以下など、厳格に下げた群の方で心不全死などの発生率が、統計上有意な差をもって良好な結果だった、ということ。SPRINT試験では、当初、予定追跡期間を5年としていましたが、結果がはっきりしたので、2年余りの追跡で中止されました。(130台後半で維持された群(人々)が、120以下の群に比べ不利益を被るわけで、こういう場合、追跡は早々に中止されます。)

なおこの際、注意するべき最大のポイントは、SPRINT試験などでは、患者を一人静かな環境において、自動血圧計で複数回測定した数字が用いられているが、日本ではそういう測定法はされていないことが多く、安易にその研究での数字を日本の一般医療の場で応用するのは、多少とも問題があるということです。といっても、ガイドラインに示されたような「厳格な降圧目標」を、無視することもできない気がします。

また、下がりすぎによるフラフラ感などの副作用がないともいえず、患者さん個人個人をよくみながら降圧目標を決めていくのも大切なことです。

SPRINT試験の概要と問題点http://therres.jp/pdf/opinion_20160517.pdf

2025
湯沢内科循環器科クリニック山本久