絶対に医者に殺されない47の心得 岩田健太郎 講談社
                      1100円  2013年
★★★
      この本の題名、どこかで聞いたことがありませんか?
 そう、昨年のベストセラーのひとつらしい、近藤誠の「医者に殺されない47の心得」のもじりですね。岩田先生の本の方が後で出たものであり、近藤氏の本とちがって、とてもまともで、ためになる本です。
 近藤誠の本は、医学の本流から遠く離れた考えが満載されて、現代の医学に詳しくない一般の方々を、路頭に迷わす、私からすれば、もしくは医者の大多数の人にとっては、「悪い本」です。(近藤氏は十年に一度ぐらいづつ、同じような内容の本を出して、文芸春秋などの出版社ともども、大金をもうけている人です。近藤氏は「慶應大学医学部講師」という、知らない人は、ブランド名と間違って、まともな本と誤解して読んでいるわけですが、彼のためにどれほどの人が、治療すれば治ったかもしれないガンを治療しないでしまって、かけがいのない命を失ったかしれないと思います。)

 一方、岩田健太郎先生の名前は医者以外では知られていないしょうが、まだ42歳、神戸大学医学部の感染症関連の講座の教授です。
 岩田先生の素晴らしいところは、感染症の権威であるとともに、医学全般についてとても詳しく(それはこの本を読めばわかります)、また、アメリカ、中国など諸外国で臨床医学の仕事をしてきたという国際性、さらに、文学や哲学にもとても詳しい、しかも顔もよい、たぶん性格も優しい、私からすれば理想的な人です。
 この本は題名の通り、、近藤誠の上記の本をパロディにしたものですが、岩田氏は「この本はどうしても書きたかった本だ」、と述べています。
 内容については、私ににとっても勉強になるとともに、彼の意見の98%に共感します。(高血圧の治療については、私は多少異論があります。)
 医者以外の人には、たぶん少しむずかしいところもあると思いますが、岩田氏は「半分は医者向けに、半分は一般人向け、そういう気分でこの本を書いた」、と述べています。
 近藤誠の本は読まない方がいいです。
 岩田先生の本は、ぜひ買って読んでください。

2014 Jan.