長びく咳(せき)

「せき喘息」など

 はじめは、かぜだと思っていても、なかなか咳がおさまらない、いやそれどころかしだいに増えてきて、夜も、せきこんでよく眠れない、このような患者さんが最近多いです。
 医学では、3週間以上続いている咳を、「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」---(咳嗽とはせきのこと)-----といいますが、こうなるとふつうはかぜではありません。(私の経験では、せきが2週間を超えると、すでにかぜではないことが多い。)

 こういった場合、以前、気管支喘息があった方は、やはり喘息であることが多い。さ
らに、今まで喘息になったことがない人でも、咳の原因は喘息の一種であることが多いのです。たとえゼーゼーするような喘息症状がなくても、「せき喘息」といって、体の中で起こっている事態(病態)は、気管支喘息と全く同一のものであり、治療も気管支喘息と全く同じです。(気管支喘息の治療の第一は、ステロイドホルモン剤の吸入、およびβ刺激剤の吸入)。

 せき喘息では、これらの治療を行うと、急速に症状が改善し、患者さんから喜ばれます。内科医は外科医とちがって、患者さんを急に治すことはめったにないので、(それどころか、高血圧や糖尿病の診療では、患者さんに小言みたいなことを言うことが多く(生活指導----減塩食やカロリー指導など)、治療して治すという、医者の醍醐味、医者になってよかったと、思うことはめったになくて)、私はせき喘息の患者さんを見つけて治療するのは、日常診療の喜びです。


 当院では、せき喘息を他の病気とだいたい区別するために、令和5年から呼気の一酸化窒素(NO)を測定する機械を入れ、診断に役立っております。

 それから、「長びく咳」の原因としては他に、「アトピー咳嗽」や、「副鼻腔炎気管支炎症候群」、「逆流性食道炎」など、がありますが、ここでは詳しくは省略いたします









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