心房細動
                   平成30年


心房細動では何がいやなの?

心房細動は不整脈の一種で、心臓の拍動ごとのリズム(間隔)が、全く不規則になります。しかし、心臓マヒなどで急に大変な事態になることはありえません。

 ただし------、心房細動になると、運の悪い人では左心房に血栓(小さな血のかたまり)ができます。これが左心房から離れて、左心室大動脈脳血管に飛びますと、重大な脳梗塞(脳塞栓)に陥ります。時には腎動脈や四肢の動脈などに塞栓症を起こします。どういう人がなりやすいかはある程度わかっているので、総合的に考えて医師は直接経口抗凝固剤を出したり、あるいは薬なしで様子を見るなど、最適な治療方針を決定するでしょう。

心房細動の発作になると動悸が強く不安になる人もいますが、心房細動により「心臓マヒ」になることはありませんので、この点では心配はありません。(ただし、WPW症候群の人のごく一部ではリスクがありますので、その場合は専門医にかかるべきでしょう。)
 心房細動を薬物や除細動器で、無理やり正常のリズム(洞調律)に戻さなければいけないという場合は多いものではありません。(不整脈の薬は、副作用もおこりがちで、医師も慎重かつ、細心の注意をもって行わなければならないでしょう。)
 ただし、心拍数が多い頻脈が続くと、心機能が落ちますので、医師はそれに対しては積極的に薬物を出すでしょう(ワソランとかβ遮断剤とかジゴシンとか)。
 なお、近年では、カテーテル・アブレーションにより、心房細動そのものを治す方法も出てきています。

心房細動の心電図 : 心拍動のリズムは全く不整

正常の心拍動(洞調律): 規則的なリズムである