龍女のコスモロジー
〜能恵姫物語七つの謎〜
今から四百年前ほど前のこと(弘治元年・1555年)。岩崎城主(湯沢市)にお姫様が生まれ能恵姫(ノエヒメ)と名づけられた。生まれて少し経った頃から姫はなぜか昼夜を問わず泣き続けるようになり、いろいろ手を尽くしたがさっぱり効果がなかった。そこで霊符森の白藤明神に泣き止めの祈願をすると、数日後乳母が庭で卵形の石を拾い、それが姫のむずかりをおさめたので守り石とされた。ある日のこと、女中が庭で姫に用を足させていると小蛇が現れたので、たわむれに「その汚物を片づけてくれるならば姫をおまえの嫁にやろう」と言った。すると姫の用便の度ごとにその蛇が現れてそれを食い去るようになった。姫が十六歳(十五歳とも言われている)になり川連城(稲川町)の小野寺の若殿のところへ嫁入りすることになった。その輿入れの途中皆瀬川のサカリ淵というところにさしかかった時、一天にわかにかき曇り姫は何者かによってさらわれてしまった。両家では手を尽くして捜したが、その行方は知れなかった。その後のある日、木の枝を切っていた家臣があやまってまさかり(あるいは鉈)をサカリ淵に落としてしまい、それを追って水中を潜っていくうちに水のない世界にたどり着いた。そこには姫が居り傍らには大蛇(龍神)が眠っていた。姫は自分の形見にと櫛と笄を託し、連れ帰ろうとした家臣が川辺で気がつくと、その手には姫の片袖だけが残されていた。姫の菩提を弔うために川連の龍泉寺が建立され、また岩崎の水神社にも姫の霊が祀られた。
これが湯沢市の岩崎地区を中心に、皆瀬川、成瀬川両水系に広く語り伝えられている「能恵姫物語」である。一見どこにでもありそうな作り話と思われがちであるが、その中には様々な謎が秘められている。
【七つの謎】