| 礼法・壽胤倶楽部 齊藤壽胤氏を講師に招いての「礼法倶楽部」です 「しつらひ」を中心に、和文化を学ぶ講座です |
齊藤壽胤氏
民俗学研究者 秋田市在住
[ しつらひ ] とは
われわれの暮らしの中には季節の風趣や行事が今日まで数多く伝えられている。
そのほとんどは自然を崇めて神々を勧請して祀り、素朴な祈り、
敬い、慶び、楽しみ、感謝の誠をあらわし、儀礼を献げてきた。
年中行事と置き換えてもいいのだが、行事を承け伝えるなかには、
目にみえないものと向き合う、そこに思いをかけて、
そこに日々の暮らしや精神生活を投影させて、
さらに折々の行事を巧みに使い分けて、心を顕してきたものであった。
「しつらひ」は元来「厳ふ(しつらふ)」という動詞で、
「飾りや調度をその場にふさわしく設備し配置する」とか「造作する」という意味で、
名詞となり「室内などに調度やした装飾、設備」という訳がつけられてきた。
時代が降るにしたがって「室礼」という漢字があてられるようになり、
床の間に代表されるような儀礼的、信仰的意味合いが込められるようになる。
たとえば行事には欠かせなかった餅という供物には、
餅に稲の霊が宿っているハレの食べ物として献げられ、
これを戴くと生命力が与えられると考えられてきたものである。
餅は必ず円くて鏡餅などと称するように、
円満とか「人の鏡(手本)」の意味が込められるようになるが、
円は悪霊邪気を祓う意があったことがうかがえる。
しつらひはこうした御饌を盛ることも大事な作法としてあり、
そこに四季折々の行事に神々を祀り、
感謝・祈願・もてなし、などの心を添えて人智をつくすことにある。
しつらひは心のもてなし作法
行事は神々と先祖への祈りと感謝に始まる
季節の饌を盛る
行事作法を継承し家礼を築く
| しつらひ作法 しつらひの道具 古い器機(道具・器)には力がある。豪華な、輝きのある、文化財のような器機は不必要。白木、つや消しの塗などシンプルでも使用感のあるものはそれなりのうつくくしさと力強さが具わっていると考えられてきた。重箱、お盆、鉢、皿、台など暮らしの道具を活かす。極端にいうとお盆一枚あればしつらひができる。物言わぬものを通して形のない行事の精神を顕すための用具でもある。要は魂のこもった器機を大事にしていく精神でもある。 御饌の盛り方 季節のものやその時々の願いや感謝を表す食・植物を誂える。御饌は飾り饌と奉り饌があるが、しつらひでは主に飾り饌作法が適している。 紙の扱い 紙は神に通じているといわれることからも御幣、紙垂などに用いられてきた。和紙は白を基調として、それを折り重ねたりして用いることによってしつらひの意味が増すと思われる。丁寧に扱うことはもちろんだが、敬いの心も必要とされよう。 縁起のもの しつらひには縁起を用いる。吉祥、瑞祥、招福、繁栄などの祈りが込められるものに重きをもって接することが大事。さまざまな文物と言葉の語呂が合わさってもたらされる幸福感を懐くような配慮が肝要。言霊の信仰もある。 床の間の飾り方 床の間は、神々と人と交流できる場であり、一種の祭壇と考えてよい。古来、貴賓や神をもてなす一段高い床になった間や座であった。そのために、床框(床の間の前端の化粧横木・幕板)は結界を現していると考えられて、この空間を聖なるものにする。したがってできるだけ清楚にする。床の間がない場合には道具を使ってこの空間を確保することもできる。床の間の意味を理解して、ここを基調として部屋全体のしつらひも考慮していく。 |