佐竹太鼓では、基本的に次のような楽器を使用しています。
 演奏する曲によって、楽器の構成が変わりますし、太鼓の場合は、曲によって撥(ばち)の長さ・太さなどを変え、音色に変化を与えています。
 また、笛は、4本調子(よんほんちょうし)を使いますが、これも曲によって「4本調子のドレミ音階」の笛を使用して、洋楽的なメロディーを奏したり、湯沢祇園囃子(ゆざわぎおんばやし)のような古典を演奏する場合は「ドレミ音階」でないものを奏します。

長胴太鼓
Nagado−Daiko
 長胴太鼓は、和太鼓の基本楽器です。佐竹太鼓も3種類の長胴太鼓を所有しています。一般的に長胴太鼓は、その大きさを表す際に、太鼓の皮が張られている面の直径で表します。
 佐竹太鼓の3種類の太鼓は、二尺五寸、一尺八寸、一尺二寸です。材質はもちろん檜(ヒノキ)です。
 普通は大きい太鼓が低い音、小さい太鼓が高い音を出すのですが、出来たばかりの太鼓などは、皮が馴染んでいないため、時としてサイズに似合わぬ高音を発しますので、よく「打ち込み」をして、皮を馴染ませる必要があります。
 逆にたくさん打ち込まれると、皮が伸びきり、ヤレた音になってきますので、そのときは、太鼓屋さんで「張り直し・張替え」をしてもらっています。
 また、同じ大きさの長胴太鼓でも重さが違う場合があります。これは、木目の入り方によるものだといわれていますが、節の部分が多いと重くなるようです。
 佐竹太鼓の使用する太鼓は、すべて秋田県仙北郡仙北町にある「鈴木太鼓店」が造っています。この太鼓を使用する理由は、何といっても実際の「打ち手」が製作する太鼓だからです。「皮の張り」、「皮の厚み」、「太鼓の色・艶」どれをとっても、よくできていると関心します。
 それに一個、一個に無理を聞いてくれます。たとえば、打ち手の身長に合わせて、胴の長さを調整してくれたります。

付締め太鼓
Tukeshime−Daiko
 付締め太鼓は、何といってもその鋭く高い音色に魅力があります。長胴太鼓が腹に響く重低音なら、さしずめ付締め太鼓は、脳髄に響く高音です。でも決して嫌な高音、キンキン響く、頭が痛くなるような高音ではありません。
 メリハリのある澄み切った高音とでもいうのでしょうか。長胴太鼓が重低音のリズムを刻んでいる上に、この付締め太鼓が鋭いリズムを刻むと、全体の音色やリズムが見違えるほど変化します。
 特に8分音符、16分音符というような細かなリズムほど、付締め太鼓の魅力が増すような気がします。
 「鼓童(KODO)」の「モノクローム」という曲をご存知の方は、きっとこの意味がお分かりと思います。
 付締め太鼓も、太鼓の皮の厚さによって、2丁掛け、3丁掛け、4丁掛けと様々な種類があります。佐竹太鼓では、現在4丁掛けという、かなり皮が厚いタイプを使用しています。
 また演奏するときは、「あぐら」をかいて打つときと、立って打つときがあります。個人的には、あぐらスタイルの方が、付締め太鼓に合っているような気がしますが…。

桶胴太鼓
Okedo−Daiko
または(or)
大拍子太鼓
Daibyoushi-Daiko
 最近、非常に流行ってきたのが、この桶胴太鼓(大拍子太鼓)だと思います。その名のとおり、本体の部分が「桶」と同じ作りになっています。
 据え置き型の大型の桶胴太鼓と違い、佐竹太鼓が使用する桶胴太鼓は、肩に架けるタイプです。
 これで、早いリズムの8分音符、3連符、16分音符などを刻むのです。右手が桶胴太鼓の上で、リズミカルに左右に動く様は、感動的です。「鼓童(KODO)」の曲で、「彩(いろどり)」という曲を知っている方は、桶胴太鼓のこのリズムは、よく理解できると思います。
 佐竹太鼓では、2種類の桶胴太鼓を使用しています。黒漆塗りのやや大型の桶胴太鼓と朱塗りのやや小ぶりな桶胴太鼓です。普通、佐竹太鼓では、黒漆塗りは男性が使い、朱塗りは女性が使用しています。
 どちらも紐で皮の張り具合を調整しますが、これがなかなかどうして、やっかいな作業です。十数本もある紐を均一に張らなければならないからです。
 また、桶の部分が皮の面と密着はしていますが、ズレることがよくあります。ズレが出ると当然、打つポイントによって音色が変わってしまいますので、常にズレを直しておく必要もあります。

篠笛
Shino−Bue
 笛は佐竹太鼓では、非常に重要な役目を果たしています。
 伝統的な曲は、西洋音楽のように譜面があるわけではありません。そのため、曲の始まりと終わりは、何かの合図で決まるのです。
 特に「湯沢祇園囃子」などの終わりは、すべて笛の合図によって決まります。この曲の終わりの部分を佐竹太鼓では「切り」といっています。「切りがない」とか「切り上げる」とか、意味としては「最後・終わり」ということがわかります。
 笛は篠竹から作られる篠笛(しのぶえ)で、一般的に佐竹太鼓では4本調子を使っています。4本調子というのは、洋楽的にいうと「A♭管」ということになります。篠笛はこのように「何本調子」というあらわし方で、その笛の音の高さを表すのです。
 ではなぜ湯沢祇園囃子が4本調子か?と聞かれると困るのですが、代々口述伝承で、メロディを教わるときに4本調子を使ってきたから・・・。ということでしょうか。
 伝統的な日本のお囃子には、4本調子や5本調子の篠笛が多く使われていることからも、佐竹太鼓が演奏する伝統曲「湯沢祇園囃子」が4本調子というのは頷けます。
 また佐竹太鼓は、創作曲を演奏しますので、時として篠笛による洋楽的メロディやハーモニィが求められます、このため同じ4本調子でも「ドレミ音階」の篠笛を多く使います。これにより洋楽的なメロディや、2〜3人で同時に篠笛を演奏するときれいなハーモニィをつくることができます。
 さらに、曲の雰囲気を変えたり、メリハリを付けるために、8本調子「C管」といった極めて高音域の出る篠笛(ピッコロのような感じです。)を使用したりもします。
 篠笛の音は、どこか物悲しく、日本人の心にジーンと染み入るものがあります。
 佐竹太鼓は、他の和太鼓団体と異なる特徴として、篠笛を絡めた曲がたくさんあることです。最近の創作和太鼓は、太鼓の音色とリズムのバリエーション、それにパフォーマンスといったものが主になっているような気がしますが、佐竹太鼓は笛、鉦、太鼓の構成で演奏される和太鼓音楽(お囃子と言ってもいいのですが…)にこだわっています。
 きっと昔は、日本のどの村々からも笛、鉦、太鼓の音色が響いて、五穀豊穣や無病息災を祈願したのでは無いでしょうか。
 そんな日本の原風景を佐竹太鼓は大切にしていきたいのです。
<すみません。自分の担当楽器なので、つい力が入りすぎ、多く書きすぎました。-eisuke->

鉦(かね)・チャンチキ
Chann−Chiki
 誰でも出来そうで、実は奥が深い---チャンチキ。これが響いただけで、曲調がガラリと変わってしますことがよくあります。
 過日、大阪厚生年金ホールで、民謡の大御所、浅野梅若先生とご一緒に演奏させていただく機会があったときのこと、うちのチャンチキ担当が、張り切りすぎて(目立ち過ぎて)、先生に「指導?」を受けました。それぐらいによく目立ちます。
 また、佐竹太鼓は秋田県の太鼓グループですので、秋田民謡も演奏します。このときはチャンチキが生きてきます。民謡では、歌のハヤシ手が、このチャンチキをリズミカルに奏しているのをよく見かけます。
 余談ですが、同じく秋田県鹿角市に伝わる「花輪囃子(はなわばやし)」では、このチャンチキが、曲のコンダクター役を担っており、曲の始まりと終わりの合図はチャンチキが出しています。
 チャンチキは、本来仏具であろうと思われます。ただ仏具の方は、三箇所に足がついており、床などに置いて、それを叩くようです。
 佐竹太鼓のチャンチキは左手に持って、右手に持った撥で演奏します。撥は指先ほどの鹿角に竹を刺したもので、手首のスナップを効かせて叩きます。