(1) 研究の流れ
- ふり混ぜてもこわれないように、うかせる物体はたまごではなく、プラスチックにする。
- プラスチックがうく食塩水の濃度を調べる。
- どの液体の組み合わせがよいか、調べる。
(2) プラスチックを選ぶ
プラスチックは、私たちの生活でたくさん使われている。「有機物」のなかまで、軽くてじょうぶで色々な形にできる。ボトルの中に入れた時に、きれいに見えることと、大きさがちょうどよくてうきしずみのようすがわかりやすかったので、プラスチックのビーズを使うことにした。
実験には次の5種類のビーズ(下の写真)を使った。
みためのようすがちがうので、プラスチックの種類がちがうのではないかと考え、これらのビーズを選んだ。
(3) いろいろな密度の液体を作る
次に、どのくらいの密度の液体でビーズがうくか調べるために、色々な密度の液体を作った。去年の研究から、物体がうく力(浮力)は液体の密度に関係していた。密度が大きければ大きいほど、うく力も大きくなったので、できるだけ密度の大きい液体を作ろうと思った。液体は、去年のたまごの実験で食塩水を使ったので、今年も食塩水を使うことにしたが、実験のとちゅうで、食塩が水にとけなくなってしまったので、さとうも使って大きい密度の液体を作った。
<液体を作る時に使った式>
密度を求める式
さとうや食塩を水に溶かしてもかさは変わらなかったので、体積は水もさとうを溶かしたさとう水も同じだと考えた。質量は、水とさとうを合わせた重さで、計算しやすいように、100gになるようにした。そのため、上の式は次の式のようになる。
この式を使って体積を求める式をつくった。
これを使って、ほしい密度の液体を作った。作った液体のデータを表1にまとめた。
表1 作ったさとう水(食塩水)の密度
さとう水(食塩水) | 水(cm3) | さとう(食塩)(g) | 密度(g/cm3) |
A(水) | 100 | 0 | 1.0 |
B | 91 | 9 | 1.1 |
C | 83 | 17 | 1.2 |
D(とけにくい) | 75 | 25 | 1.3 |
E(食塩がとけ残る) | 71.5 | 28.5 | 1.4 |
F | 67 | 33 | 1.5 |
G | 62.5 | 37.5 | 1.6 |
H | 59 | 41 | 1.7 |
I | 56 | 44 | 1.8 |
J(とけにくい) | 53 | 47 | 1.9 |
K(とけにくい) | 50 | 50 | 2.0 |
密度が1.3より大きくなると、食塩がとけ残ったので、1.4からはさとうを使った。さとうを入れる量を増やすと、とけにくくなるが、よくふってしばらく置いておくと、全部とけた。できた液体はドロドロしていた。
食塩水は何日置いても液体に変化はなかったが、さとう水は1週間置くと密度の小さい液体にカビがはえていた。密度の大きいさとう水は2週間くらいはカビがはえなかった。「うきうきボトル」を作るとすれば、やはり食塩水の方がいいのかもしれない。
(4) プラスチックがどの密度でうくか調べる
上の(3)で作った液体を使って、プラスチックがうく密度を調べた。実験結果を表2にまとめた。
表2 液体の密度とプラスチックのうきしずみ(○うく ×しずむ)
液体(g/cm3) | ビーズ1 | ビーズ2 | ビーズ3 | ビーズ4 | ビーズ5 |
A 水(1.0) | × | × | × | × | ○ |
B 食塩水(1.1) | × | ○ | ○ | × | ○ |
C 食塩水(1.2) | × | ○ | ○ | × | ○ |
D 食塩水(1.3) | × | ○ | ○ | × | ○ |
E さとう水(1.4) | × | ○ | ○ | × | ○ |
F さとう水(1.5) | × | ○ | ○ | × | ○ |
G さとう水(1.6) | × | ○ | ○ | × | ○ |
H さとう水(1.7) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
I さとう水(1.8) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
J さとう水(1.9) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
K さとう水(2.0) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ビーズ1は、Gの液体でボトルをふると一度うき、そこからゆっくり落ちていった。ビーズ4も同じような動きをした。
この実験から、同じプラスチックのビーズでも、密度がちがうことがわかった。また、ビーズ1と4、2と3は見た目はちがうが、うく密度が同じだったので、同じ種類のプラスチックではないかと考えた。プラスチックは種類によって密度がちがうと、姉が教えてくれたので、この実験結果からどのビーズが何というプラスチックでできているか調べた。
表3 密度などから予想されるプラスチックの正体
ビーズ | 実験から予想される密度 | 予想されるプラスチック |
ビーズ1と4 | 1.7(g/cm3) | アクリル樹脂(1.17〜1.20)
*密度で調べると、他にもっと近いプラスチック(ポリ塩化ビニリデン)があったが、写真で調べるとアクリル樹脂が近かった。 |
|
ビーズ2と3 | 1.1(g/cm3) | ポリスチレン(1.04〜1.09) |
ビーズ5 | 1.0(g/cm3)より小さい | ポリエチレン(0.92〜0.97) |
インターネットを使って調べたが、密度だけでプラスチックをなかまわけするのはむずかしかった。見た目のようすや特ちょうも合わせて、なかまわけしないといけないと思った。
(5) うきうきボトルを作る
うきうきボトルに入れる液体は、さとう水だとカビが生えてしまうので、食塩水を使うことにした。そこで、食塩水にうくプラスチックとしてビーズ2、3、5を使うことにした。食塩水の密度はなるべく大きいほうがいいかと思い、密度1.3のものを使うことにした。
次に、食塩水の上に入れる液体を選んだ。水を使うと、何日かするとまざってしまう。そこで、水と同じくらいの密度で食塩水とまざらない液体がないか調べた。最初、オリーブオイル(密度0.9)を使った。うまくうくのだが、まぜるときたなくなってしまい、もとの2つの液体にわかれるのに時間がかかった。そこで、次に消どくに使うイソプロピルアルコール(密度0.79)を使った。すると、図4のように、ボトルの中が真っ白になってしまったが、少しすると白いのが全部下に落ちて、とてもきれいになった。
この白いものの正体は何だろうと考えた。食塩水を作っている時にとけ残って下にしずんだ食塩にようすがにていたので、食塩かなと思った。でも、一度とけた食塩が、なぜまた出てくるのかは、よくわからない。
食塩の密度があまり濃いと下に白いものがしずむので、B(密度1.1)とC(密度1.2)でもやってみた。Bは、下に白いものはしずまなかったが、うまく真ん中にビーズがうかばなかった。Cは少し下に白いものが出て、ビーズは液体の真ん中にうくが、ちょうど真ん中ではなく、ボトルの上の方に浮いた。私はボトルの真ん中にうかせたかったので、下の白いものが入らないように、上のすんでいるところだけをべつのボトルに入れて、「うきうきボトル」を作ることにした。そして「うきうきボトル」が完成した。
この「うきうきボトル」をふって、元のこれと同じになれば研究は大成功だ。ボトルをふったようすが次の写真である。
ふってすぐは、ビーズ5が上に、2と3が下にいく。そして、少し置くと、2つにわかれたビーズがだんだん近づいて、ふる前と同じになった。大成功だった。写真で見ると、ボトルをふると3つの液体があるように見える。ちょうど、食塩水とオリーブオイルをやった時も、同じようにオリーブオイルの層(上)とオリーブオイルと食塩水がまざった少しにごった層(中)と食塩水の層(下)の3つにわかれた。もしかすると、これも同じかもしれないと考えた。だとすると、上の層がイソプロピルアルコール(密度0.79)で、下の層が食塩水(密度1.3)なので、真ん中のまざった層は、この2つの密度の間になるかもしれない。ビーズ2と3の密度が1.1だったので、0.79〜1.1の間の密度になるのではないかと考えた。だとすると、ちょうどそのくらいの密度の物体を探せば、真ん中の層にうかせることができるかもしれないと予想し、色々な物を入れてたしかめてみた。
(6) キラキラボトルを作る
真ん中の層にうくものがないかためしてみた。私がもっているビーズは全部上と下にわかれて、真ん中の層にはうかなかった。夏休みの工作でネイルに入れるキラキラのこなを買っていたので、これをためしてみた。すると、真ん中の層に入って、キラキラと光った。
この実験から、ネイルのキラキラのこなの密度は0.79〜1.1の間だと考えた。